一昔前、郵便ポストと言えば左のイラストのような円筒形のものだった。これは「丸型ポスト」と言うらしい。しかし今は全国どこに行ってもポストは四角いものしか見かけなくなった。
現在主流の四角い箱型ポストは郵便物を貯める袋を内部に吊るして交換するだけで収集できるのに対し、丸型ポストは小さな取出し口から郵便物を手でかき出す手間がかかる。
また、最近多くなったA4サイズの郵便物は折り曲げても丸型ポストの口には入らない。
さらに、丸型ポストは鋳鉄製で製造コストも高い。つまり工業製品としては箱型ポストに勝てるものは何もない。
当然の成り行きとして丸型ポストは箱型のものに置き換えられていった。やがて消滅する運命に立たされた。しかし、「これを後世に残したい」という愛好家が集まって設立した「丸型ポストの会」によると、全国にまだ5,000本弱が存在するという。愛媛県には戦前に作られたポストも残っているそうだ。
「丸型ポストの会」は、無くなっていく丸型ポストの写真を残し、景観の良い場所には復活させる運動を展開している。先日、元郵便局員で同会会長の新家一郎氏がラジオ番組に出演して丸型ポストの現状を語っておられた。
聞いていて意外だったが、消滅の流れを未練がるのではなく、後世に語り継いでいこうとする活動を情熱的ではあるが力むところなく(現代風に言うとゆるいかんじで)淡々と語っておられた。それが印象的だった。
四角いポストが主流の現代でも、お土産物やおもちゃのポストの主流は、この丸型ポストだ。丸型ポストは愛らしいからである。会長もおっしゃっていたが「思わず頭を撫でたくなる」ような愛らしさがこのポストの全てである。
それはペットにも通じる。生活の役には立たなくてもペットはそこにいるだけで「癒し」専門として価値がある。丸型ポストもそういう目で見ると確かに人間のような気がしてくる。箱型ポストがロボットなら、丸型ポストは人そのものだ。
いつまでも語り継いでほしい日本文化の一つであろう。
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