朝日新聞に連載されている「福本 豊さんの回顧録」みたいな記事がますます面白くなってきた。世界の盗塁王で、国民栄誉賞・辞退第1号という輝かしい実績を誇る人だ。
1983年(昭和58年)6月に当時の世界記録となる通算939盗塁を達成し、時の中曽根康弘首相から授与を打診されたが、「そんなんもろたら立ちションもでけへんようになる」と言って辞退した。これは本当の話なのか?
私なら「立ちション」のことを隠してでも、もらえるものはもらっておくが...。
その福本さんは最近こう語っている。元巨人軍監督の長嶋さん、元メジャーリーガー松井さんが国民栄誉賞の同時受賞が決定した時のインタビューでの話だ。
「年齢は関係ないと思いますわ。王さん(受賞当時37歳)も、ボクがいわれたとき(38)もほぼ松井と同年齢。松井はマジメやし、野球に取り組む姿勢も青少年たちの憧れにもなれる。ボクが断わったのは年齢が理由ではなかった」
福本氏はノンプロの松下電器から1969年、阪急ブレーブスに入団。1972年にはシーズン106盗塁でメジャー記録を更新。1983年にはルー・ブロックの持っていた通算盗塁記録を抜く939盗塁を達成した。
「松下電器の人を通じて、政府が国民栄誉賞を考えてるって聞いたから、『立ちションベンもできんようになるがな』っていいましたわ。ボクはあの頃、酔っぱらったら(立ちション)してたからね。国民の手本にはならへん、無理や、ということで断わりました」
あの「立ちション発言」は事実でした。
「王さんが世界記録を作ったことで創設されたのが第1号。ボクも世界記録やからということでしたが、ボクには王さんのように野球人の手本になれる自信がなかった。野球で記録を作るだけでなく、広く国民に敬愛されるような人物でないといけないという、当時のボクなりの解釈があったんです」
「ボクは、麻雀はするし、タバコも吸うし、悪いことばかりしてましたから。受賞してたら、ちょっとしたことでも、ああだこうだいわれたり書かれたりするでしょう。他の受賞者にも迷惑がかかるから、やっぱりもらわんで良かったです」
自分を誤魔化すことなく自分に素直に向き合っている。ある程度の年齢になると自分を力以上に膨らませて見せるのが普通なのだが、珍しいひとだ。
だが、彼がこの世界(プロ野球)で大成した理由(わけ)もわかるような気がする。あの小さな身体で。
彼の持つ「天性の素直さ」ではないかと思う。それは阪急ブレーブスに入団した1年目のシーズンが終わった時、西本監督から「お前のスイングはぶれている。オフにもっとバットを振ってこい」と言われて、その通り実践した。
落ちてくる枯れ葉をボールに見立てて毎日ひたすら振った。するとスイングが鋭くなり、2年目のシーズンからはヒットがどんどん生まれた。すると、今までは恐くて走れなかったのが、「今失敗しても次にまた打って走ればいい」というポジティブ思考になった。それが好循環を生んで、2年目に彼は盗塁王となる。
この福本物語はまだしばらく続くだろうが、わくわくしてくる。目が離せない。ご一読をお奨めする。
あの大選手にも、こんな時代があったのか。そして、素直に受け入れてひたむきに行動すると何かが起こることがわかって、悩める人たちにいくばくかの勇気をもたらすと思う。(特に若者はぜひ読んでほしい)
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